REPORT

イベントレポート

クロージングトークイベント

 『FUKANUMA BEACH PARK2022/深沼ビーチパーク2022』と『FUKANUMA BEACH NIGHT/深沼ビーチナイト』の振り返り企画として『クロージングトークイベント』が8月27日(土)にせんだい3.11メモリアル交流館で開催されました。

 会場には30名ほどの参加者が集まりました。進行は実行委員会の武田会長(以下:武田)と同じく委員の仙台市観光課の日下課長(以下:日下)がつとめました。

 最初に武田より「地域の方たちの様々な声をいただきながら、開催して、たくさんの方に来ていただき、大きな事故などもなく、無事にイベントを終えることができました。一日だけ中止がありましたが、週末などは天候にも恵まれ、夜のイベントと合わせて、たくさんの方に楽しんでいただきました。このような形で<海をふたたびひらく>ことができて良かったと思っています」との話があり、会期中の会場の様子を写真で紹介して、参加人数や、アンケートに寄せられた言葉の報告がありました。

実際に紹介した資料です。
ぜひ、ご覧ください。

クロージングトーク資料〈4.6MB〉 クロージングトーク資料〈4.6MB〉

日下:「『FUKANUMA BEACH PARK2022/深沼ビーチパーク2022』は新しい<海の楽しみ方>を、いろいろと感じることができました。 泳ぎたいという方もいらっしゃいましたが、タープやパラソルの下で豊かな、 贅沢な時間を過ごせた、という声もたくさん聞こえてきましたので、海水浴場とは違った、様々な楽しみ方をこの2週間で、みなさんが見せてくれたのかなと思っています。また『FUKANUMA BEACH NIGHT/深沼ビーチナイト』に関しては、夜の海ってなかなか行く機会がないと思いますが、ライトアップしてイベントを実施したことで、不思議な魅力をつくれたと思っています。夜は<危ない>という意見もあるので、今後どう継続していくのかというのは考えていかなくてはいけないのですが、仙台市は今年度、青葉山エリアにおいてもライトアップのイベントを実施していました。ライトアップすると、やはりインスタ映えするということもあり、みなさん写真を撮って楽しんでいただいております。光のイベントは、このビーチナイトも含め、改めて、人を呼び込むことができるんだなと思いました。
 コロナ対策で言えば、野外のイベントは密になりづらく、消毒液などの設置により、安心して来ていただいたのかなと思っています。」

武田:「海水浴を楽しみにしていた方は、できないとわかると帰ってしまう方もいましたが、波打ち際まで行って、海にふれることができるということで、海を感じ、楽しまれている方もたくさんいて、こうした海での過ごし方をつくれたことは良かったと思っています。また、タープの中で本を読んで、ゆっくり、まったりしている方もたくさんいました。タープはほぼすべての時間で利用者がいました。本を準備した甲斐があったなぁとホッとしました。」

日下:「アンケートの結果については一番多かったのが<一か月以内に来た>という方。普段深沼海岸に来ている方が、期間中も来ているというのが多かったようですね。ただ、二番目に多かったのが<はじめてきた>という方。一番目の声と二番目の声の対比があると思いました。また次に多かったのが<一年ぶりに来た>という方。夏になると来られる方が多いと思いました。次に<5年以上><しばらく来られなかった>という意見もありました。震災後、足を向けられなかった、という方たちが、もしかしたらこのイベントで来てくれるきっかけになったのならば、わたしたちも企画した意味があったと思います。」

武田:「そうですね。震災以来、なかなか来ることができなかったという方が、このイベントを知り、<来てみた>と言ってくれたりして、とてもうれしく思いました。大きな、人がたくさん集まるイベントも魅力ですが、できるだけ丁寧に、震災前の地域の方の暮らしや文化、震災からの時間をつなげていくにはどうしたら良いか、ずっと考えてきたので。」

日下:「それと、様々な声がありましたね。たとえば、トイレが汚い、交通の回遊性のことなど、そうしたことは今後考えていくことになると思いますが、なかでも「海水浴をしたい」という意見がありました。今年度、海水浴を見送ったことの理由のひとつに、津波浸水区域の発表の中で、避難の丘が浸水してしまうことがわかって、荒浜小に避難するという経路だけになってしまったんです。そうなると最大で収容される人数が1000人になります。そうしたことから、今回は人が多く集まる海水浴を見送った経緯もあります。オープニングトークイベントでも話したのですが、平成29年度から行ってきた実証実験を踏まえて、海水浴以外でも楽しめるやり方はないか、ということでこのような企画にしたのですが、やっぱり「海水浴をしたい」という声もあったものですから、今後こうした課題を整理していかないといけないと思いました。」

武田:「先ほど、大きな、人がたくさん集まるイベントではなく、と話しましたが、同時に深沼海岸が仙台で唯一の海水浴場で、今年は宮城県内のほとんどの海が海水浴を再開したこともあって、海水浴ができることを期待している方がたくさんいることも事実ですよね。会場でのアンケートにもそうした声がありました。ただ、同じくらいの数の方が、このようなゆっくりした過ごした方をしたくて来ているということもわかりました。これはどちらが正解ということではなく、改めて、荒浜の魅力・にぎわいとはなにかを問いかけていくことになるのだと思います。」

 その他、実行委員会のアドバイザー庄子隆弘さんから「期間を長くしたことで、より多くの人たちに荒浜の海が開かれていることを知っていただく良い機会になったと思いますが、住民がいない状態で海を開くことの限界も感じました。民間企業に委託して運営するには、経費がかかってしまいます。またトイレが汚く、シャワーもないのでそうした設備をどうするのか、海岸の漂流物やゴミをどうするのか、など多くの課題を考えていくには、長期的な視点が必要だと思いました」という感想がありました。

 オブザーバーの末永稔さんからは「良いイベントだったと思います。とくに『FUKANUMABEACH NIGHT/深沼ビーチナイト』は夜の砂浜がきれいで、楽しく、1回目は夫婦で参加したのですが、娘と孫にも見せたくて、2回目は誘って、みんなで行きました」という感想をいただきました。同じくオブザーバーの大友周一さんからは「このイベントの目的<ふたたび海をひらくことで、かつてあった地域のつながり、文化に寄り添い、改めて海の魅力を感じ、かつてのにぎわい、これからのにぎわいを考えていく>ことは達成できたのではないでしょうか。そのうえで、わたしは元荒浜住民として、海水浴ができる海になってほしいと思います」という感想がありました。

 会場からも「たしかに、ゴミなどはあるが、そうしたものを見てもらうのも、大切なことだと思います。荒浜を伝えて続けてほしい」という声や「荒浜の海は波が高く危険で、いまの子どもたちに、そのことを伝えていく難しさがあると思います。そういう意味では、かつての海水浴とは違うと思うので、再開することを急ぐ必要はないと思います」という声などがありました。

 最後に武田より「このトークイベントは、どうしても夏の海のイベントに関してということで、<海水浴の再開>というテーマに向き合うことになるのですが、同時に現在の状況(避難の丘の件、住民が不在で運営が難しいことなど)を踏まえて、<かつて>と<これから>の海の楽しみ方をどのようにつなげていけるか、を考えていかなくてはいけないと思います。また、そのことから<かつて>と<これから>の荒浜地域をどのように考えていくのかも大切なことになると思います。」という話がありました。